出荷検品とは
出荷検品とは、商品が倉庫から出荷される際に、注文内容と実際の商品が一致しているかを確認する不可欠なプロセスです。倉庫内の商品と出荷伝票(注文情報)を照合し、品番、数量、品質(破損や汚れの有無)などを厳しくチェックします。
出荷検品の目的と重要性
この作業の最大の目的は、顧客満足度の向上と企業の信頼性確保にあります。もし検品が不十分であれば、誤った商品や不良品が顧客の手元に届いてしまい、クレームや返品、ひいては企業ブランドの失墜につながります。正確な出荷検品は、顧客との信頼関係を築き、リピート購入を促進するための基盤となるのです。また、返品や再発送にかかる無駄なコストを削減し、経営効率を高める上でも極めて重要な役割を担っています。
出荷検品の流れ
一般的に出荷検品は、以下のステップで進められます。

- ピッキング
出荷指示に基づき、倉庫の保管場所から該当する商品を正確に取り出します。 - 出荷前検品
ピッキングされた商品が、注文内容と完全に一致しているかを最終確認します。商品名、品番、数量はもちろん、外観上の傷や汚れ、機械製品であれば簡易的な動作確認なども行います。特に外観が似ている商品は間違いやすいため、型番などの詳細な情報での照合が不可欠です。 - 梱包
検品をクリアした商品を、輸送中の衝撃から守るために適切に梱包します。緩衝材を適切に使うなど、商品の特性に合わせた丁寧な作業が求められます。 - ラベル貼付・出荷
配送先住所が記載されたラベルや送り状を貼り付け、最終的な宛先を確認してから出荷します。

これらの流れは、チェックリストを用いた手作業でも行えますが、後述するバーコードスキャナーなどのツールを活用することで、ヒューマンエラーを劇的に減らし、作業効率を飛躍的に向上させることができます。
出荷検品を効率化する4つのアプローチ
日々の出荷業務を円滑に進めるためには、検品作業の効率化が鍵となります。ここでは、現場ですぐに取り組めるものから、システム導入まで、4つの主要なアプローチを紹介します。
作業マニュアルの作成と標準化
品質を安定させ、効率を高めるための第一歩は、作業の標準化です。作業者個人の経験や判断に依存した属人的なプロセスは、品質のばらつきやミスの原因となります。誰が作業しても同じ品質を保てるよう、詳細な作業マニュアルを作成し、徹底することが不可欠です。
マニュアルには、検品項目、合格基準、使用する機器の操作方法、トラブル発生時の対処法などを具体的に記載します。これにより、新人スタッフでも迷うことなく、一定の基準で作業を遂行できます。また、業務内容の変化に合わせてマニュアルを定期的に見直し、常に最新の状態に保つことも重要です。
画像・重量検品
画像認識や重量測定の技術を用いた検品方法もあります。事前に商品の画像と重量をマスタに登録しておき、出荷時に専用カメラと重量測定器で出荷商品を特定し、品目と数量に差異がないかをチェックします。バーコードがなくても検品可能という特徴があります。
WMS(倉庫管理システム)の導入
WMS(Warehouse Management System)は、入荷から在庫管理、出荷に至るまで、倉庫内業務全体を一元管理する倉庫管理システムのことです。WMSを導入することで、検品作業は大きく変わります。
ハンディターミナルを使って商品のバーコードをスキャンするだけで、WMS上の出荷データと瞬時に照合され、間違いがあればその場で警告が表示されます。これにより、ピッキングミスや検品漏れといったヒューマンエラーをシステムが防ぎます。在庫情報もリアルタイムで更新されるため、常に正確な在庫数を把握でき、過剰在庫や欠品のリスクを低減できます。
初期投資やスタッフへの教育は必要ですが、長期的には人件費の削減や在庫の最適化といった多大なメリットをもたらし、倉庫全体のオペレーションレベルを向上させます。

ハンディターミナルの活用
ハンディターミナルを使い、バーコードやRFIDタグを読み取ることで、商品情報の迅速かつ正確な登録が可能になります。前述のWMSなどのシステムとともに用いることで、手作業によるデータ入力のミスを減らし、作業時間の短縮と正確な出荷管理ができます。

スマートフォンアプリの活用
近年、ハンディターミナルの代わりに、スマートフォンを出荷検品に活用するソリューションが注目されています。スマートフォンの利用には下記のメリットがあります。
- コスト削減
業務用スマートフォンがあれば、追加コストなしで検品システムを導入できます。多くの従業員が操作に慣れているため、教育コストも抑えられます。 - 高速スキャン
現在のスマホアプリは、カメラ性能の向上により、専用端末に遜色ない速度でのバーコード読み取りが可能です。 - 多機能性
検品アプリを使えば、出荷指示の確認から検品結果の入力までをスマホ一台で完結できます。さらに、在庫管理や発注アプリと連携させることで、検品中に発見した欠品をその場で発注するなど、柔軟で迅速な対応が可能になります。
アウトソーシング(外部委託)の利用
自社でのリソース確保が難しい場合や、より専門的な品質管理を求める場合、検品作業を専門業者にアウトソーシングするのも有効な手段です。専門業者は、高度な検品設備と熟練したスタッフ、そして豊富なノウハウを保有しています。これにより、自社で行うよりも迅速かつ高精度な検品が期待できます。また、物量の季節変動にも柔軟に対応できるため、繁閑の差が激しいビジネスにも適し、採用に起因する人事や経理といったバックオフィス部門の業務負担を軽減できます。
ただし、委託先の選定は慎重に行う必要があります。品質基準や納期遵守について信頼できる業者かを見極め、自社の商品特性や要求事項を正確に伝えるコミュニケーションが成功の鍵となります。自社にノウハウが蓄積されにくいという側面はありますが、コア業務に集中するための戦略的選択として非常に有効です。
自動化による課題解決
現在、倉庫管理や物流現場において人手不足は喫緊の課題となっています。人手不足の状況では、ヒューマンエラーも発生しやすくなります。この課題に対する最も有効な解決策は検品の自動化を行うことです。検品作業の精度とスピードを劇的に向上させ、コスト削減にも貢献できるポテンシャルを秘めています。
自動化の具体的な手法
バーコード・RFIDによる自動照合
最も広く普及している自動化手法です。バーコードスキャナーやRFIDリーダーを使えば、目視で行っていた照合プロセスを機械に置き換えられます。圧倒的なスピードと正確性を実現し、誤出荷を効果的に低減できます。特にRFIDは、箱を開けずに複数の商品を一括で読み取れるため、検品ゲートを通過させるだけで作業が完了するなど、さらなる効率化が可能です。
AI画像検品・重量検品
AIを活用した画像認識技術によって、商品の外観検品を自動化できます。コンベアを流れる商品をカメラで撮影し、AIが傷、汚れ、異物混入、ラベルのズレなどを瞬時に検出します。人の目では見逃しがちな微細な欠陥も捉えられるため、品質管理のレベルが格段に向上します。同様に、重量検品は、梱包後の製品重量を計測し、基準値と比較することで、セット商品の入れ忘れや数量ミスを検知するのに有効です。
ロボットによる物理作業の自動化
AGV(無人搬送車)やピッキングロボットを導入すれば、商品の棚出しや運搬といった物理的な作業そのものを自動化できます。ロボットアームが商品を掴んで箱詰めを行ったり、AGVがピッキング後の商品を次の工程へ搬送したりすることで、作業者を負担の大きい力仕事から解放できます。
自動化がもたらすメリット
ヒューマンエラーの低減と品質向上
自動化の最大の利点は、ヒューマンエラーを低減できることです。機械において疲労や集中力の低下などはなく、常に一定の基準で作業を遂行します。これにより、誤出荷や不良品流出のリスクを最小限に抑え、製品・サービスの品質を安定させることができます。
コスト削減と生産性の向上
自動化により検品作業に必要な時間を大幅に削減できるので、人的コストを圧縮できます。さらに、誤出荷がなくなることで、返品処理や再発送にかかるコスト、そして顧客の信頼を失うという見えないコストも削減できます。
また、自動化によって削減できた時間を在庫分析や業務改善の企画といった、より付加価値の高い創造的な業務に振り向けることがで、従業員の満足度と働きがいを高め、人材の定着にも繋がります。
自動化導入に向けたポイント
自動化システムの導入には、当然ながら初期投資が必要です。しかし、その投資は、長期的な人件費削減や生産性向上による利益増によって十分に回収可能であることが多いです。
重要なのは、自社の課題を明確にし、最も投資対効果が見込める部分から段階的に導入を進めることです。まずはハンディターミナルによるバーコード検品から始める、特定のラインに画像検品を導入してみるなど、スモールスタートで効果を検証しながら範囲を拡大していくアプローチが、リスクを抑えつつ成功に導く鍵となります。
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